【書評】グリ森事件の”答え”となる一冊。「罪の声」

2017年7月3日
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どうもこんばんは。@konimaruです。
徐々に徐々に、そして確実に我々のもとに忍び寄る「夏」という季節。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回はかねてから読みたかった、誰もが知る事件を題材とした、この本の書評となります。

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事件が起こった当時は、著者と同じく私もまだ小さかったので理解をしていなかったが、関西で起こった大きな事件であること、また馴染み深い”お菓子の会社”の事件である点、そして何より家の近所の交番の掲示板にいつも貼られていた薄気味悪い「キツネ目の男」。
これまでテレビで何度も放送され、覚える気などもなくとも強烈に私達の記憶に刷り込まれた、未解決事件ー。

本書はその、昭和という時代が解決できなかった、当時の日本中を震撼させた未解決事件の代表であるこの事件を題材にしている。

 

「グリコ森永事件」

 

大枠のストーリーはこうだ。

自営業でテーラーを営む俊也は、亡くなった父の遺品の中から一冊の黒い手帳と一本のテープを見つけた。
そしてそのテープに入っていたのは、テレビで何度か聞いたことのある、その事件の犯人が使った子どもの声。
そしてその声は、幼い頃の自分の声だったー。

 

「きょうとへむかって、いちごうせんを・・・にきろ、ばーすーてーい、じょーなんぐーの、べんちの、こしかけの、うら」

 

 

そして時を同じくし、新聞社に勤める阿久津が上司から呼ばれ言い渡された企画は「昭和の未解決事件」をテーマにした企画だった。

事件の関係者の立場から、そして事件を追う記者の立場から、それぞれ事件の核心を追っていくー。

 

罪の声
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というものである。

事実、グリコ森永事件には、犯人から警察へのやり取りで、3人の「子どもの声」が使われているらしい。
当時子どもだったのであれば、現在は著者や私と同じくらいの年代であり、家庭を持ち、子どもがいても不思議ではない。
果たして彼らは、今どこでどんな人生を送っているのだろうか。

 

時間があれば小説を読んだり探したりしている私が、いつものようにふとAmazonを覗いた際にレコメンドされたのがきっかけで知り、この題材・ストーリーを見てどうしても読みたくなった。とはいえすぐに購入するのではなく、子どもの絵本を借りるのに毎週末図書館に出向いている都合もあって、まずその図書館でこの本が置いているかどうか検索をかけてみた。するとなんと10冊も(!)置いていたのである。(人気の本は複数冊置いているのだが、10冊はなかなかお目にかかったことがない)。

しかも驚くべきことに、10冊もあるにも関わらず予約が200件も入っているではないか。これではいつ順番が回ってくるのか・・・。
それほど読みたくもない本であれば、予約を入れて忘れた頃くらいに順番が来る・・・なんて気長に待つこともできるが、どうしてか本書に関しては今すぐ読みたい熱が収まらず、書店に行く時間を惜しみもうその場でKindleで購入してしまったのである。

さて書評だが、著者のインタビュー記事が以下にあるのでひとさらい読んで欲しい。

 

グリ森事件の「真犯人」を追い続けた作家が辿り着いた、ひとつの「答え」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49408

 

この題材にかけた熱意が文脈から伝わってくるようである。それもそのはず。上記記事に書いているが、著者はこの小説のアイデアを既に学生の頃に思いついており、これが書きたいがために小説家になった言っても過言ではないという。当初は当然ながら、筆力がなくかけなかった。大学を卒業して新聞記者の道を選んだのも、この小説のためだということだろうか。兎にも角にも、事件の舞台になった現場にも実際に足を運び、話を聞くなどしたらしく、それらの著者の実体験がひとつひとつ、物語に現場感・臨場感という命を吹き込んでいる。

これを読み終わったあとは不思議な感覚に襲われる。果たしてこれは本当にフィクションを含んでいるのだろうかということだ。ノンフィクションの部分とフィクションの境界線が、読み進めて行くうちにわからなくなり、これは本当は真実ではないのか?著者は実際にこの主人公である「阿久津」そのものであり、真実に辿りついたのではなかろうか。既に時効が故に、また加害者家族に配慮し「小説」という形で世間に発表するにとどめているのではないかと、著者自身を疑ってしまうほど、作中に飲み込まれた。

もし私も、父の部屋のタンスをあけると一本のテープレコーダーが出てきたとしたら、どのようなリアクションをとるのだろう。

 

未解決事件現場を歩く 激動の昭和篇 (双葉社スーパームック)

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