初心者に最適な、読みはじめると止まらなくなるSF小説

ライフハック
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どうもこんばんわ。@konimaruです。年始、今年の目標の中に1ヶ月は2冊ビジネス書(新刊)を読み自分なりにチートシートとしてまとめること!などと掲げたにも関わらず小説ばかり読んで現実逃避してることは内緒にしておいて欲しい。

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他のエントリーでも多分触れているかと思うが私は元来性格的に、ヒマがあればボーッとして、これがこうなったらいいのに、あれがああなったら便利だなぁ、とか考えたり考えなかったりしているのでそんな感じの人間である。なのでもともとSFなどと言うテーマには比較的親和性の高い人間だと自負しているが、星新一先生の描くあの独特の世界観にハマってからというもの、小説といえばSFしかないだろうということで、まぁまだ胸をはって僕SF好きです!なんて言えるレベルではないと思いますが一度ここらで『SF入門編』としての4冊を紹介させていただきたい。

 

●夏への扉

まず一つ目はこちら。SF関連のまとめには必ずといって良いほどノミネートされている本書。以前からずっと読みたい読みたい、タイトルだけみてもなんだかワクワクするような作品だと思っていたがついにそれを読む機会を得たので読んでみた、自分史上初のSF外国人著者の作品。

結論から言うと、とっても面白かった。といっても伝わらないであろう。私は評論家でもなければ物書きでもなければ何十年とブログを運営している猛者でもない。がしかし小学生の頃国語の授業の点数は常に90点台をキープしていたプライドもあるので、馬鹿にするのはちょっと待って欲しい。

どれくらい面白かったのかというと、いつもの平日、通勤電車の社内で読んでいたら降車駅をすっかりと乗り過ごしたのである!それはもともとがボーっとした性格に寄るところなんじゃないの?と思った諸君に是非聞いていただきたい。私は時間にルーズな男ではなく、むしろ細かい方の部類に入る。待ち合わせや客先への訪問においては常に30分前くらいに到着してしまい、ちょっと早く着きすぎたといつも後悔するような男だ。当たり前だが人生において目的の駅を他の何かに夢中になっていて乗り過ごしたなんてことは今まで一度もないたぶん恐らく。そのような私が目的の駅を乗り過ごすなんてことは考えられないのである。そして次の駅の到着のアナウンスではっと気付き電車を飛び降りた。電車に乗り、小説を開いた瞬間から乗り過ごしたことに気づいた瞬間まで、なんということだろう、私の名前はダニィで、肩にかけている鞄の中には窮屈そうに、そう、愛猫のピートが入っていたではないか!それくらい夢中になる作品なのである。

肝心なその内容だが、単なるSFだけの要素ではなく、青春要素あり、恋愛要素ありのどこを切り口にしても問題のない、例えるなら千歳飴のような作品である。ストーリーの展開スピードも申し分なく、常に次は何が起こるんだろうと先が気になり、全編においてクライマックスであるかのようなドキドキした思いにかられ、小説ながら頭の中に情景が浮かんでしまう。

SF小説が初めての方にも、また小説というものに初めて触れる方にとっても非常に読みやすく、楽しめる一冊となることは間違いないだろう。

 

●虐殺器官

  • 2006年度、第7回小松左京賞最終候補。
  • 「ベストSF2007」国内篇第1位。
  • 「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位。

などなど、著者のデビュー作にして様々な賞を獲得している本書。だが私はそれらの賞を目にして本書を手にとったわけではない。著者のプロフィールを見ると、私と同じ職種『webディレクター』ではないか!年齢もそれほど離れてはおらず、というところで勝手ながら著者に親近感を得たので、個人的に本書には強い興味をもって読んだ。1

内容は、要するに未来の話である。あたりまえである。内容は正直記憶がかすれている部分があり、私の脳のシナプスがよくキレるスライダーばりに内容を歪曲して伝えてしまうかもしれないが、そこは是非本書を手にとって真実を自分で確認して欲しい。

舞台はアメリカ。米軍の特殊検索群i分遣隊というこの時点でニヤリとしてしまいそうな部隊名だが、そこに所属している一人の中尉、クラヴィス・シェパードという男が主人公であり、クラヴィスの視点から物語が描かれていく。テロリストが核を使用し、サラエボという国がひとつ滅んでから、先進国は完全な個人認証システムを取り入れることによりテロリストの脅威を未然に防いでおり、後進国も着実に平和に向けて進んでいた、が、「ジョン・ポール」なる人物が訪問した国は、ことごとく内戦・虐殺の国へと転落していく。一体ジョン・ポールという男は何者で、一体何をしているのか、動機は何なのか・・・

ということで様々な国を舞台にしてこのジョン・ポールなる人物を追う形で物語が展開されるわけなのですが、人工筋肉を使ったボット(乗り物)や、オルタナ・副現実(現在ではARという呼び名の方が浸透している)、などなど、各所に登場するガジェット類が、まさに現代の延長線上にあるようなリアリティで凄い。まさに著者がweb、IT業界出身ならでは、である。

そして私が最も印象に残った未来の描写は戦闘の部分。主人公を含め軍隊の人間は戦闘の前に「痛覚マスキング」なる脳の?調整が行われる。脳の研究により、痛みを「感じる」部分と痛みを「知覚する」部分があることが分かり、戦闘の前には「感じる」部分だけをマスキングしてしまうのである。これにより戦闘中に撃たれ腕がなくなったとしても、腕がなくなったことを「知覚」はするが、「痛み」はないのである。また戦闘の際に着用しているスーツは、自動的に止血などをしてくれる機能なども備わっている。そして戦闘意欲もコントロールされているという設定(だったかと思う)ので、情もなく、精神的にも肉体的にもサイボーグのような人間となり、仮に何度も銃で撃たれたとしても、戦闘意欲は衰えることがなく突き進んで行く。つまり未来の戦争は、頭でも吹き飛ばさない限り向かってくるゾンビ対ゾンビの殺し合いになる、というところである。

是非小学生の良い子の皆様は夏休みの読書感想文に本書をいかがでしょうか。

●ハーモニー

こちらも虐殺器官と同様、伊藤計劃氏の作品。

時は21世紀後半。上記著者の処女作『虐殺器官』の延長線上の未来。
『大災渦(ザ・メイルストロム)』と呼ばれる世界的な混乱のあと、人類が辿った道は、「生命主義」という名の行き過ぎた管理社会。その社会では、小さな体内監視チップを体の中に埋め込み、『WatchMe』と呼ばれる体内監視システムが毎日の健康度合いチェックし、不足している栄養素の補給や、体の中に発生しかかったウィルスなどを除去する薬が生成され、人は皆毎日それを飲んでいれば病気や風邪すら引かない社会。いわば『ユートピア』であるはずのそれが、見せかけのやさしさが横行したディストピアとして描かれる。そんな社会に反抗をするため、3人の少女は餓死を試みるが、主人公、霧慧トァンは死ねずに生き残ってしまう―。

それから13年、自死など起こりえないこの社会で、「集団自殺」という事件が起こる。トァンはその捜査を進めるうち、死んだはずの友人御冷 ミァハの存在を感じる。

というようなストーリーである。

いやこれもその生命管理社会というものが緻密に描かれていて恐ろしく感じるほど。最初は青春モノの流れが、物語が進むにつれてサスペンス性を帯びてくる。そして「人の意識とは選択の集合であるが故、選択自体が自明になれば意識は必要がなくなり、究極の管理社会が実現されるよ」というような、SF特有の哲学エッセンスというかテーマがごっそりと中心に聳え立っているのである。十分に読みごたえがあり読んでいて損なしの作品。

そしてこの作品が、若くして急逝された著者の最後の作品になる。これからももっとこの著者が描く世界観に浸ってみたかったが非常に残念である。

 

●アンドロイドは電気羊の夢を見るか

言わずと知れた大御所フィリップ・K・ディックの作品。作品自体も古典SFと称される程古いが、映画化されたのももう何年も前、ハリソン・フォードが主演の『ブレードランナー』というタイトルがつけられたこの映画も大ヒットしたとか。この作品を礎として、のちの人間とアンドロイドの違いをテーマとした映画や作品が色々と生まれたとか言われているほどSFの中では金字塔的な作品になるようです。

未来、第三次世界大戦が起こった後の世界が舞台。戦争により地球には壊滅的な打撃を受け、人類は火星を開拓・移住をはじめていた。地球では”生きているもの”が貴重で厳重に管理されており、”生きた”動物を飼うことが一種のステータスとなっていた。

他方、火星での労働作業はもっぱらアンドロイドが担当しているが、アンドロイドも長い年月が経過すると意識・自我を持つようになる者もしばしば。主人公リック・デッカードは、火星での労働作業に反抗し地球に逃げ帰ってきたアンドロイドを処理するバウンティハンターを職業としていた。

そんな中、限りなく人間と似た最新鋭のヒューマノイドロボット8体が地球に逃げ帰ってきたことを知る。処理すれば高値の報酬。毎日電気羊という”物”の世話をするリックは、法外な金額で取引される”生きた動物”を飼うことを夢見て、そのアンドロイドたちの処理に向かう。

というのが大筋のあらすじ。

付け足すと、”共感”する能力があるかどうかというものを人間とアンドロイドの違いとする中で、アンドロイドのような人間や、人間のようなアンドロイドとの出会いの中で、『人間とアンドロイドの違いは』『人間とは何か』という生命の根源のようなテーマに悩まされていく。小説を読んだあとに映画を見たが、映画の感想は、終始画面が暗かった・・・という印象である。是非オススメである。

とまぁ上記が私がSFが好きになってからザザザっと読んだ4冊であるが、どれから読みはじめても問題のないくらい面白い作品に揃いです。面白くて時間の流れを忘れてしまうかも知れませんがそれもいとをかし。

今日はこのへんで。

 

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